新しく事業を始めるとき、あるいは既存事業を拡大するとき、多くの中小企業経営者が必ず一度は悩むのが、次の疑問です。
「この事業って、許認可が必要なんだろうか?」
この判断を曖昧にしたまま進めてしまうと、後から取り返しのつかない経営リスクにつながることがあります。
- 無許可営業として行政指導を受ける
- 業務停止・罰則の対象になる
- 補助金や融資が受けられなくなる
この記事では、行政書士の実務経験をもとに、「許認可が必要かどうかを判断するために、最初に確認すべき3つのポイント」を中小企業経営者向けに分かりやすく解説します。
結論|迷った時点で「確認すべき事業」
まず結論からお伝えします。
「許認可が必要か迷う事業は、ほぼ確実に確認が必要」です。
理由は単純で、許認可が関係する事業ほど、
- 業法が複雑
- 業種の定義が分かりにくい
- 行政ごとに運用が異なる
という特徴があるからです。
ネット検索だけで「たぶん大丈夫そう」と判断するのは、非常に危険です。
ポイント① 有償か?継続的か?
最初に確認すべきは、有償と継続性です。
✔ 有償で行っているか
- お客様から対価をもらっている
- 直接でなくても、広告収入や手数料がある
✔ 継続的に行っているか
- 一度きりではない
- 定期的・反復的に行っている
「有償 × 継続的」
この条件がそろうと、何らかの業法に該当する可能性が一気に高まります。
「最初は知人向けだった」
「副業感覚だった」
このようなケースでも、事業として継続すれば許認可が必要になることは珍しくありません。
ポイント② 「モノ・人・情報」を扱っていないか?
次に重要なのが、事業内容そのものです。
特に、次の3つを扱う事業は注意が必要です。
モノを扱う事業
- 食品・飲食
- 中古品・リユース品
- 廃棄物・資源
- 医療機器・化粧品
人を扱う・人の安全に関わる事業
- 建設・工事
- 運送・配送
- 人材紹介・派遣
情報を扱う事業
- 個人情報を扱うサービス
- マッチング・仲介
- プラットフォームビジネス
経営者の感覚では「普通のビジネス」でも、法律上は規制業種に該当することがあります。
ポイント③ 事業内容を一言で説明できるか?
実務上、とても重要な判断基準です。
- 「〇〇もやるし、△△もやる」
- 「場合によって□□もやる」
- 「お客さんの要望次第で変わる」
このような事業は、複数の許認可が関係する可能性があります。
特に、
- 主たる業務は何か
- 付随業務はどこまでか
によって、必要な許認可が変わるケースが少なくありません。
業種別|許認可が必要になりやすい代表例
飲食・食品関連
- 飲食店営業
- 菓子製造・食品製造
- キッチンカー
👉 保健所の許可が必要になるケースが多い
建設・リフォーム関連
- 建設工事の請負
- リフォーム・内装工事
👉 工事内容・金額によって建設業許可が必要
中古品・リユース関連
- 中古品の買取・販売
- ネットオークション転売
👉 古物商許可が必要なケースが多い
IT・オンラインサービス
- マッチングサイト
- 仲介プラットフォーム
- サブスク型サービス
👉 一見不要に見えても、実は業法が関係するケースが増えています
無許可営業になりやすい典型パターン
副業から本業へ移行したケース
最初は小規模でも、
事業が成長すると許認可が必要になることがあります。
事業拡大・業務追加時
- サービス内容を増やした
- 新しい顧客層を狙った
👉 これまで不要だった許認可が必要になることも
法人化したとき
個人事業では問題なくても、
法人化により要件が変わるケースがあります。
許認可の調べ方|経営者が自分で確認する方法
① 業種名+「許可」で検索する
ただし、断片的な情報しか得られないことが多いです。
② 官公庁・自治体のホームページを確認
正確ですが、
- 専門用語が多い
- 自分の事業に当てはまるか判断しづらい
というデメリットがあります。
③ 行政書士に相談する
最も確実で、結果的に時間とコストを節約できる方法です。
許認可と補助金はセットで考えるべき
最近の補助金申請では、
- 適法に事業を行っているか
- 必要な許認可を取得しているか
が厳しくチェックされます。
つまり、
「許認可が曖昧」= 補助金が使えない
という事態になりかねません。
事業計画・補助金・許認可は最初から一体で考えることが重要です。
行政書士に相談するベストなタイミング
おすすめは次のタイミングです。
- 開業前
- 会社設立前(許可によっては定款の目的が重要です)
- 事業内容を検討している段階
- 補助金を検討し始めたとき
この段階で相談すれば、
- 取るべき許認可の整理
- 事業スキームの調整
- 将来の事業拡大を見据えた設計
まで一気に整理できます。
まとめ|「分からない」は最大のリスク
許認可は、
- 知らなかった
- 悪気はなかった
では済まされません。
だからこそ、
「これ、許認可いるのかな?」
と思った時点で、一度立ち止まって確認することが、経営リスクを最小限に抑える最大のポイントです。