中小企業経営者の方から、よくこんな質問をいただきます。
「行政書士って、結局どこまでやってくれるんですか?」
実はこの疑問、とても重要です。
なぜなら、行政書士に依頼できる業務とできない業務を誤解したまま進めると、
- 無駄な時間がかかる
- 余計な費用が発生する
- 最悪の場合、手続きがやり直しになる
といった事態になりかねないからです。
この記事では、中小企業経営者の視点で「行政書士にできること・できないこと」を分かりやすく整理します。
行政書士とは何をする専門家なのか?
行政書士は、官公署(役所)に提出する書類作成と手続きの専門家です。
企業活動においては、次のような場面で深く関わります。
- 許認可の取得
- 補助金・助成金関連の手続き
- 事業に関する契約書・規程類の作成
- 法人設立・変更手続き
つまり、
「事業を始める」「事業を広げる」「事業を守る」
このすべての局面で関係してくる存在です。
行政書士に依頼できる主な業務【中小企業向け】
① 許認可申請・届出業務
行政書士の代表的な業務です。
- 建設業許可
- 飲食店営業許可
- 産業廃棄物収集運搬業許可
- 古物商許可
- 各種業法に基づく許認可
ポイント
単なる書類作成だけでなく、「そもそも許可が取れるか」「要件を満たしているか」といった事前チェックが非常に重要です。
② 補助金・支援制度の申請サポート
中小企業にとって欠かせないのが補助金です。
行政書士は、
- 補助金の制度選定
- 事業計画書の整理
- 申請書類の作成支援
- 採択後の交付申請・実績報告
まで一貫してサポートできます。
※「採択されること」だけでなく、「もらい切ること(補助金入金)」まで考えるのがプロの仕事です。
ポイント
補助金の申請(採択)でサポートを終了する場合が多いのが実情です。
採択後の交付申請、実績報告がかなり大変ですので、ここまでサポートしてくれる行政書士がおすすめです。
③ 契約書・社内規程などの書類作成
行政書士は「権利義務・事実証明に関する書類」を扱えます。
- 業務委託契約書
- 秘密保持契約書(NDA)
- 利用規約
- 社内規程・就業規則(※作成は可)
経営者の意図をヒアリングし、実務で使える形に落とし込むことが求められます。
④ 法人設立・変更に関する手続き
- 株式会社・合同会社設立時の書類作成
- 事業目的の変更
- 本店移転・役員変更などの届出
※登記そのものは司法書士の業務ですが、設立全体の流れを設計する役割を行政書士が担うケースも多いです。
行政書士が「できない」業務とは?
ここも非常に大切なポイントです。
① 裁判・訴訟の代理
- 裁判所での代理行為
- 訴訟書類の作成(原則)
これらは弁護士の業務です。(裁判所に絡む案件は弁護士です)
② 登記業務
- 法人登記
- 不動産登記
これは司法書士の独占業務になります。(法務局に提出する部分は司法書士です)
③ 税務申告・税務代理
- 法人税申告
- 消費税申告
これらは税理士の業務です。
※帳簿の記帳は行政書士でも可能です。(税務署に提出する部分は税理士です)
「自分でやる」か「行政書士に頼む」かの判断基準
中小企業経営者におすすめの判断基準はシンプルです。
- 事業に直結するか?
- 調査する時間を確保できるか?
- 失敗した場合のダメージは大きいか?
- 一度きりでなく、今後も続く手続きか?
このどれかに当てはまるなら、最初から専門家に相談する方が結果的に早く・安く済みます。
行政書士を「代書屋」で終わらせず、フル活用するために
良い行政書士は、単なる代行ではなく、
- 事業全体を見たアドバイス
- 補助金・許認可を絡めた戦略設計
- 将来の事業展開まで見据えた提案
を行います。
特に「補助金 × 許認可 × 経営」を同時に考えられる行政書士は多くありません。
まとめ| 迷ったら「早めの相談」が正解
行政書士に依頼できる業務を正しく理解することで、
- 無駄な手戻りを防げる
- 事業スピードが上がる
- 経営判断に集中できる
という大きなメリットがあります。
「これは行政書士に聞いていいのかな?」
そう思った時点で、相談する価値は十分にありますので、躊躇せずお問い合わせください。
※ 許認可・補助金・経営全体を見据えたご相談は、行政書士飯島事務所までお気軽にご相談ください。