結論:欠格要件は1つでも該当すれば一発アウト

建設業許可を取得するには、経営業務管理責任者・専任技術者・財産要件など、複数の「満たすべき要件」があります。
しかし、それと並んで重要なのが「欠格要件に該当しないこと」です。

欠格要件とは、これに1つでも該当すると許可が取れない(または取り消される)、消極的な要件のことです。
建設業法第8条に14項目が列挙されており、申請者本人だけでなく役員・営業所長・支配人など関係者全員が対象となります。

「自分には関係ない」と思っていると、過去の経歴や役員の事情が思わぬ障害になることがあります。
申請前に必ず確認してください。

欠格要件の対象となる「人」は誰か?

欠格要件は、申請者本人だけでなく、次の関係者全員に適用されます。

法人の場合個人事業主の場合
法人そのもの(申請会社)個人事業主(代表者)本人
取締役・執行役・業務執行社員支配人(支配人登記がある者)
相談役・顧問営業所の所長
議決権5%以上の株主・出資者
令第3条の使用人(営業所長・支店長等)

つまり、会社全体として欠格要件に該当しないかを確認する必要があります。
役員の一人が欠格要件に引っかかるだけで、会社全体の許可が拒否・取消しになります。

14項目の欠格要件一覧(建設業法第8条)

①成年被後見人・被保佐人・復権を得ていない破産者

精神上の障害により事理弁識能力を欠く状態として後見開始の審判を受けた者(成年被後見人)、または著しく不十分な状態として保佐開始の審判を受けた者(被保佐人)は該当します。

ただし、医師の診断書等により「建設業を適正に営むために必要な認知・判断・意思疎通が適切にできる」と認められる場合は、該当しないものとして扱われます。

破産者については、「復権を得ていない」ことが条件です。
自己破産しても免責決定が確定すれば復権となり、欠格要件には該当しません。
つまり「自己破産経験がある=許可が取れない」ではありません。

②不正手段により許可取消を受けてから5年未満

不正の手段により許可を受けたこと、または営業停止処分に違反したことなどにより建設業許可を取り消され、取消日から5年を経過していない者

③許可取消の聴聞通知後に廃業届を出してから5年未満

許可取消処分の聴聞通知を受けた後、処分前に「駆け込み廃業」の届出をした者で、その届出日から5年を経過していない者。取消処分を逃れるための廃業を防ぐ規定です。

④③の廃業届直前60日以内に役員等だった者で5年未満

③に該当する廃業届が出された会社で、聴聞通知の前60日以内に役員等・令第3条使用人だった者は、同様に5年間許可を受けられません。

⑤営業停止中の者

建設業法第28条第3項・第5項の規定により営業停止を命じられ、停止期間が経過していない者

⑥営業禁止中の者

許可取消に伴い営業禁止の処分を受け、禁止期間が経過していない者

⑦禁錮以上の刑の執行終了から5年未満

刑法その他いかなる法律でも、禁錮・懲役の刑に処せられ、執行を終わった(または執行を受けることがなくなった)日から5年を経過していない者

「どんな犯罪でも禁錮・懲役ならNG」という点が重要です。
交通事故で禁錮刑を受けた場合も、5年経過まで許可は取れません。

⑧特定法令違反の罰金刑から5年未満

すべての罰金刑が対象ではありません。
以下の法律に違反して罰金刑を受け、5年を経過していない者が該当します。

対象法律主な該当例
建設業法無許可営業、虚偽申請など
建築基準法・宅地造成等規制法・都市計画法違法建築、無許可開発など
労働基準法・職業安定法・労働者派遣法強制労働、違法派遣など
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律暴力団関係の規定違反
刑法(傷害・暴行・脅迫・背任など)特定の暴力行為
暴力行為等処罰に関する法律集団暴力など

注意: 軽い交通違反(駐車禁止・速度違反)で反則金を払っただけであれば欠格要件には該当しません。
ただし、悪質な交通違反で「罰金刑」の判決が出た場合は要確認です。

⑨暴力団員またはその退団から5年未満

暴力団員、またはかつて暴力団員であって退団後5年を経過していない者

⑩心身の故障により建設業を適正に営むことができない者

国土交通省令で定める要件に該当する者。

⑪未成年者で法定代理人が欠格要件に該当する場合

営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人が欠格要件のいずれかに当てはまる場合。

⑫法人の役員等に①〜⑩該当者がいる場合

法人の役員・令第3条使用人の中に、①〜⑩の誰かに該当する者がいる場合、法人全体が欠格となります。
これが実務上最も注意が必要な規定です。

⑬個人事業主の使用人が欠格要件に該当する場合

個人事業主の支配人が欠格要件に該当する場合。

⑭暴力団員等がその事業活動を支配している場合

会社の役員に暴力団員がいなくても、外部から暴力団が経営を支配している場合も欠格要件に該当します。

実務上、見落としやすい3つのポイント

1. 「役員一人がNG=会社全体がNG」

個人の問題が会社全体に波及するのが建設業許可の欠格要件の特徴です。
新たに取締役や営業所長を迎える際は、その人物が欠格要件に該当しないか事前に確認することが必須です。

2. 罰金刑でも特定の法律違反は「アウト」

「禁錮・懲役でないから大丈夫」という思い込みは禁物です。
建設業法違反や労働関係法令違反による罰金刑は5年間の欠格事由となります。

3. 許可取得後も継続してチェックが必要

欠格要件は、申請時だけでなく許可取得後に該当した場合も許可取消の対象となります。
役員交代・株主変更のたびに確認する体制が重要です。

欠格要件に該当してしまった場合の対処法

すでに欠格要件に該当する役員等がいる場合でも、その役員を退任させてから改めて申請することで許可を取得できる場合があります。
ただし、5年間の期限付きの欠格要件(②〜④・⑦〜⑨)については、時間の経過を待つしかありません。

対処の方向性は次のとおりです。

状況対処の方針
欠格に該当する役員がいるその役員を退任させてから申請
5年の期間制限がある期限満了まで待機
自己破産歴がある復権(免責確定)を確認
役員の状況が不明身分証明書・登記されていないことの証明書で確認

まとめ

チェック項目内容
欠格要件は何項目?建設業法第8条に14項目
誰が対象?役員・支配人・令3条使用人など関係者全員
1つでも該当したら?許可が取れない(または取消し)
許可取得後も注意?要注意。随時確認が必要
自己破産歴は?復権済みなら問題なし
罰金刑は?特定の法律違反による罰金は5年間アウト

欠格要件は「自分には関係ない」と思っていても、過去の経歴や役員の事情が影響することがあります。
特に会社設立時や役員変更時には、関係者全員について確認することを強くお勧めします。

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