5つの許可要件を一つひとつ丁寧に解説。提出書類の全体像から東京都への申請手続きの流れまで、行政書士が実務視点でお伝えします

「建設業許可を取りたいが、要件が複雑でどこから手をつければいいかわからない」「必要書類が多すぎて自分では準備できそうにない」——そんな声を現場でよく耳にします。

建設業許可の新規申請は、提出書類が30種類以上に及ぶことがあり、要件の確認から書類収集・作成・窓口提出まで、正しく進めないと差し戻しや申請却下のリスクがあります。

本記事では、建設業許可(一般建設業・知事許可)の新規取得に必要な5つの要件・主な提出書類・申請から取得までの流れを、行政書士が実務の視点でわかりやすく解説します。
これから申請を検討している方はぜひ参考にしてください。

1.建設業許可の新規取得に必要な「5つの要件」

建設業許可(一般建設業)を新規取得するには、建設業法第7条および第8条に定められた以下の5つの要件をすべて満たすことが必要です。
一つでも欠けると申請できません。

⚠️ 最難関のひとつ
要件1:経営業務の管理責任者(常勤役員等)がいること

建設業に関する5年以上の経営経験(役員・事業主など)を持つ者が、申請会社に常勤で在籍していること。許可業種を問わず、建設業としての経営経験であればOKです。
法人の場合は取締役・執行役員など、個人の場合は事業主本人が対象となります。


⚠️ 最難関のひとつ
要件2:営業所ごとに専任技術者がいること

請け負う工事業種に対応した国家資格保有者(1・2級施工管理技士、建築士など)か、または10年以上の実務経験者が常勤で在籍していること。
資格がない場合は10年分の実務経験を請求書・通帳・工事台帳などで証明する必要があります。


要件3:誠実性があること

請負契約の締結や工事の施工において、不正・不誠実な行為をするおそれがないこと。
法人の役員等が建設業法や暴力団関連法令で刑事罰を受けていないかも審査対象になります。


要件4:財産的基礎があること

自己資本(純資産)が500万円以上あること、または500万円以上の資金調達能力(金融機関の残高証明書等で証明)があること。
申請直前1か月以内に取得した残高証明書で確認されます。


要件5:欠格要件に該当しないこと

禁固以上の刑に処せられてから5年を経過していない者、建設業法・独占禁止法・暴力団関連法令等で罰金刑に処せられてから5年を経過していない者などは許可を受けられません。
役員全員が審査対象です。

📌 社会保険加入も必須

上記5要件に加え、法人・個人を問わず健康保険・厚生年金保険・雇用保険への適正加入が許可取得の要件となっています。
未加入の場合は申請前に加入手続きが必要です。

2.要件ごとの注意点と「よくある落とし穴」

経営業務管理責任者:「経験の証明」が壁になる

最も多いのが「経営業務の管理責任者になれる人がいない」というケースです。
これまでずっと職人として現場に出てきた方は、経営者としての年数が足りないことがあります。

ただし、以前勤めていた建設会社での役員経験なども合算できる場合があります。
自社での経験が不足する場合は、過去の職歴を整理して要件を満たす別の組み合わせがないか確認しましょう。

専任技術者:実務経験10年の証明は膨大な作業量

国家資格を持っていない場合、10年以上の実務経験を書類で証明する必要があります。
1か月(3ヶ月)ごとに工事の実績を示す書類(請求書・注文書・通帳の入金明細など)を用意するため、書類の枚数が数百枚に及ぶこともあります。

また、申請する工事業種(例:電気工事業、内装仕上工事業など)に対応した実務経験であることも必要です。
当事務所がこれまでサポートしてきた案件の中でも、この実務経験証明は特に難易度が高く、丁寧な対応が求められます。

財産的基礎:残高証明書は申請の直前に取得する

500万円以上の残高証明書は、申請日の1か月以内に発行されたものが必要です。
申請直前に口座残高を確認し、必要に応じて資金を集中させた上で残高証明書を取得してください。
ただし、申請後すぐに引き出すことは本来の趣旨に反するため注意が必要です。

📌 要件を「ほぼ満たしている」は通りません

建設業許可は要件が一つでも欠けると申請できません。

かなり厳格な審査となります。
それ故、この許可のステータスが高くなっています。

「あと1か月で5年になる」「残高があと数十万円足りない」といった場合は、要件を満たしてから申請することが必要です。
見切り発車で申請すると差し戻しとなり、時間と費用が無駄になります。

3.新規申請に必要な書類の全体像

建設業許可の新規申請では、法定申請書類(様式第1号〜第22号の4)と、要件を証明するための添付書類をあわせて提出します。
東京都知事許可の場合、提出書類は合計で30種類以上になることが一般的です。

以下に主な書類をカテゴリ別に整理します。

📁 申請書類本体(法定様式)

  • 建設業許可申請書(様式第1号)許可業種・区分・営業所情報などを記載
  • 役員等の一覧表・営業所一覧表(別紙)
  • 専任技術者一覧表(様式第2号)
  • 工事経歴書(様式第2号)直前1年または3年分の工事実績
  • 直前3年の工事施工金額(様式第3号)
  • 使用人数(様式第4号)
  • 誓約書・許可申請者の略歴書(様式第6・7号)

📁 経営業務管理責任者の証明書類

  • 常勤役員等(経営業務管理責任者等)証明書(様式第7号の2)
  • 常勤役員等の略歴書(別紙1)
  • 在籍期間中の法人登記簿謄本・確定申告書経営経験を証明するため
  • 健康保険証・住民税特別徴収通知書等常勤性の証明

📁 専任技術者の証明書類

  • 専任技術者証明書(様式第8号)
  • 資格者証のコピー(国家資格で証明する場合)
  • 実務経験証明書(様式第9号)10年実務経験で申請する場合
  • 実務経験を裏付ける書類(請求書・注文書・通帳など)原則、月ごとに1件以上の証明が必要
  • 健康保険証・住民税特別徴収通知書等常勤性の証明

📁 財産的基礎・会社関係書類

  • 直近の貸借対照表・損益計算書等(建設業法所定様式)設立直後は期首貸借対照表でも可
  • 金融機関の残高証明書(500万円以上・1か月以内発行)自己資本で要件を満たせない場合
  • 法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)発行後3か月以内のもの
  • 納税証明書(法人税・消費税等)

📁 営業所・社会保険関係書類

  • 営業所の賃貸借契約書または建物登記簿謄本
  • 営業所の写真(内部・外観・看板など)
  • 健康保険・厚生年金の加入証明書類(標準報酬決定通知書等)
  • 雇用保険の加入証明書類(労働保険概算確定申告書等)
📌 東京都では申請前の「事前相談」が重要

東京都知事許可の場合、申請書類を提出する前に都庁建設業課での事前相談(無料)を活用することを強くおすすめします
担当者(行政書士)が書類の不備を事前にチェックしてくれるため、差し戻しのリスクを大幅に減らせます。

4.申請から取得までの流れ(東京都知事許可の場合)

東京都知事許可(一般建設業・新規)の申請から許可取得までの標準的な流れは以下のとおりです。
全体で2〜3か月程度かかることを見込んでスケジュールを立ててください。
(東京都以外でもほぼ同様の流れです)

1
要件の確認・ヒアリング

5つの許可要件をすべて満たしているか確認します。
特に「経営業務管理責任者」「専任技術者」「財産的基礎」の3つは早期に確認が必要です。
要件が不足している場合は、満たすための準備期間が必要になります。

2
書類収集・申請書類の作成

登記簿謄本・納税証明書・残高証明書・社会保険書類などを収集しながら、法定様式の申請書類を作成します。
実務経験10年の証明が必要な場合はこの段階に最も時間がかかります。
書類は申請前に整合性を細かくチェックします。

3
事前相談(東京都庁など)

作成した書類一式を持参し、都庁の建設業課窓口で事前相談を受けます。
担当者が書類を確認し、不備があれば指摘を受けて修正します。
事前相談を経ることで正式申請後の差し戻しリスクを大きく軽減できます。

4
正式申請・手数料の納付

申請書類一式を東京都庁 建設業課に提出します。
申請と同時に法定手数料(知事許可・新規:90,000円)を納付します。
申請書類は所定の順で綴じて提出します。

5
審査・補正対応

都庁による書類審査が行われます。
審査中に補正(追加書類の提出・修正)を求められることがあります。
担当者からの連絡に迅速に対応することが、スムーズな取得につながります。

6
許可通知書の受領・許可取得

審査が完了すると「建設業許可通知書」が郵送されます。
許可の有効期間は取得日から5年間です。
許可取得後は毎年の「決算変更届(事業年度終了後4か月以内)」や役員変更の届出など、継続的な維持管理が必要になります。

5.自分で申請するか、行政書士に依頼するかの判断基準

建設業許可の申請は、要件さえ満たしていれば自分でも申請できます。
しかし実際には書類の量・複雑さ・窓口対応の手間から、多くの事業者が行政書士に依頼しています。

以下の観点から判断してみてください。

  • 自分で申請が向いているケース:
    国家資格あり・経営経験が明確・書類作成や必要書類取得の時間がある・書類作成が得意・申請先(都庁など)に5-10回程度訪問することができる
  • 行政書士への依頼が向いているケース:
    実務経験10年の証明が必要・本業が忙しい・書類の整合性に自信がない・早期取得を希望
  • 特に専門家への依頼を強くおすすめするケース:
    実務経験10年の証明が必要・特殊案件(法人成りによる承継、事業承継)・複数業種の同時申請・過去に申請が差し戻された経験がある

行政書士に依頼することで、要件確認・書類収集・申請書作成・事前相談・窓口提出・補正対応まですべてを任せることができます。
本業に集中しながら、最短・確実に許可を取得したい方には専門家への依頼が合理的な選択です。

📌 当事務所の強み

行政書士飯島事務所では、実務経験10年証明・法人成りによる承継・事業承継手続きなど、難易度の高い案件を数多く手がけてきた実績があります。
要件確認から許可取得まで一貫してサポートいたします。
初回相談は無料です。

まとめ

  • 建設業許可(一般建設業)の新規取得には5つの要件(経営管理責任者・専任技術者・誠実性・財産的基礎・欠格要件非該当)+社会保険加入が必要です
  • 最難関は「経営業務管理責任者の経営経験証明」と「専任技術者の実務経験10年証明」です
  • 提出書類は30種類以上。法定申請書類と添付証明書類に分かれます
  • 東京都知事許可の場合、申請前に都庁建設業課での「事前相談」を活用することを強くおすすめします
  • 申請から許可取得まで標準的に2〜3か月。法定手数料は知事許可・新規で90,000円です
  • 許可取得後も毎年の決算変更届・5年ごとの更新など継続的な維持管理が必要です