「経営改善」という言葉は聞くけれど、実際は何をするのか
「売上はあるのに利益が残らない」「資金繰りが年々苦しくなっている」「将来が見通せない」
——こうした課題を感じたとき、よく耳にするのが「経営改善」という言葉です。
しかし、具体的に何をすることなのか、どこから手をつければよいのかは、意外とつかみにくいものではないでしょうか。
本記事では、中小企業の経営改善とは何かを基礎から整理し、進め方の全体像と、専門家の支援を受けられる公的制度までをお伝えします。
「立て直したいが、何から始めればよいかわからない」という段階の経営者の方に向けた、入口の解説です。
中小企業の経営改善とは
経営改善とは、おおまかに言えば、自社の経営上の課題を客観的に把握し、それを解決するための計画を立てて、実行していく一連の取り組みを指します。
単なるコスト削減や一時的な売上対策にとどまらず、財務状況や事業の構造そのものを見直し、持続的に利益を生み出せる体質へと変えていくことが目的とされています。
しばしば「病院で診察を受け、処方を受ける」ことにたとえられます。
まず自社の状態を正確に診断し、原因を特定したうえで、適切な手立てを講じる
——この流れは医療と共通しています。
感覚や勘だけに頼るのではなく、数字に基づいて現状を見える化することが、経営改善の出発点になると考えます。
なぜ今、経営改善が求められているのか
経営改善の必要性が高まっている背景には、中小企業を取り巻く環境の変化があります。
物価やエネルギー費用の上昇、人手不足、借入金の返済負担など、複数の要因が重なり、利益を確保しにくい状況に直面している事業者が少なくないと指摘されています。
特に、コロナ禍で実施されたいわゆる「ゼロゼロ融資」(実質無利子・無担保融資)の返済が本格化したことを受け、資金繰りの見直しや借換えを含めた経営の立て直しに取り組む企業が増えています。
こうした局面では、場当たり的な対応ではなく、計画に基づいた経営改善が重要になると考えられます。
経営改善の基本的な進め方
経営改善は、一般的に次のような流れで進められるとされています。
step1:現状の把握(見える化)です。
財務状況、商流、業務プロセス、外部・内部の経営環境などを分析し、自社の強みと弱みを客観的に整理します。
このとき、後述する「ローカルベンチマーク」などのツールが役立つとされています。
step2:課題の特定です。
「売上はあるのに利益が出ない」のはなぜか、「資金繰りが苦しい」原因はどこにあるのか
——表面的な症状ではなく、その根っこにある原因を見極めます。
step3:アクションプランの策定です。
特定した課題に対し、具体的に実行できる解決策を立てます。
あわせて、その効果を反映した数値計画(損益・キャッシュフロー・資金繰りなど)を作成することが推奨されています。
step4:実行とフォローアップです。
計画は立てて終わりではなく、実行しながら定期的に進捗を確認し、必要に応じて軌道修正していくことが大切だとされています。
専門家の支援を受けられる公的制度がある
経営改善は自社だけで進めることもできますが、客観的な視点や専門知識が必要な場面も多く、公的な支援制度を活用する方法があります。
資金繰りの不安がある場合の支援の代表は、「経営改善計画策定支援事業」(通称「405事業」)です。
これは、金融支援を伴う本格的な経営改善に取り組む中小企業・小規模事業者を対象に、国が認定した「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」の支援を受けて経営改善計画を策定する場合に、専門家へ支払う計画策定費用などの一部が補助される制度です。
補助の割合や上限は枠や年度によって異なるため、最新の条件は公式情報での確認してください。
この制度では、財務分析や経営診断、資金繰り改善のアドバイス、金融機関への金融支援の依頼内容の整理などを、専門家とともに進めることになります。
いわば「専門家という伴走者」を得ながら立て直しを図れる仕組みです。
「ローカルベンチマーク」で自社を診断する
経営改善の出発点となる「現状把握」を助けるツールとして、経済産業省が提供する「ローカルベンチマーク(ロカベン)」が知られています。
これは、財務情報(6つの指標)と非財務情報(商流・業務フローなど)の両面から、企業の経営状態を把握するための共通の枠組みとされています。
いわば企業の「健康診断ツール」のような位置づけで、自社の状態を客観的な数字と図で見える化できる点に特徴があります。
経営改善計画の策定過程でも活用が推奨されており、まず自社の弱点を知る第一歩として取り組みやすいツールだと考えられます。
経営改善は「補助金・金融支援」ともつながっている
経営改善への取り組みは、それ単体で完結するものではなく、補助金や金融支援とも結びついている点を押さえておくと、活用の幅が広がります。
たとえば、自社の経営力を高めるための「経営力向上計画」や、災害・サイバー攻撃などへの備えを示す「事業継続力強化計画」は、各種補助金の加点要件になる場合があるとされています。
経営改善を通じて自社の課題と方向性を整理しておくことは、こうした計画の策定や補助金申請にもつながり、結果として資金面の選択肢を広げることにもなり得ます。
つまり、経営改善は「守りの立て直し」であると同時に、「攻めの一手(投資・成長)」への土台にもなり得るということです。
まとめ:まずは「現状を知る」ことから
経営改善とは、自社の課題を客観的に把握し、計画を立てて実行していく取り組みであり、その第一歩は「現状を数字で見える化すること」にあると考えます。
一人で抱え込まず、ローカルベンチマークのようなツールや、認定支援機関による公的支援を活用することで、無理なく進められる可能性があります。
当事務所は認定支援機関として、経営改善計画の策定支援、補助金申請、資金繰りの見直しのご相談を承っています。
「何から手をつければよいかわからない」という段階からでも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。自社の現状を一緒に整理するところから、立て直しの道筋をご提案いたします。
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