「設備投資を考えているが、何か使える制度はないか」
新しい機械を導入したい、店舗やシステムに投資して事業を広げたい
——前向きに投資を考えるとき、「国の支援制度を活用できないか」と探す経営者の方は多いと思います。
その有力な選択肢の一つが「経営力向上計画」です。
経営力向上計画は、比較的取り組みやすい申請でありながら、税制優遇・金融支援・補助金の加点など、複数のメリットにつながり得る制度とされています。
本記事では、制度の概要と4つのメリット、申請の流れ、そして近年の改正点までをわかりやすく整理します。経営改善の全体像については、ハブ記事もあわせてご覧ください。
経営力向上計画とは
経営力向上計画とは、中小企業等経営強化法に基づき、人材育成・コスト管理・設備投資などを通じて自社の経営力を高めるための実施計画を指すとされています。
この計画を作成し、事業を所管する省庁の認定を受けた事業者は、税制や金融などの支援措置を受けられる仕組みです。
特徴の一つは、申請書類が比較的簡潔な点です。
自社の現状の課題や、経営力を向上させるための具体的な取り組み、導入する設備などを、所定の様式(A4数枚程度とされます)にまとめる形が基本とされています。
制度は2016年に始まり、相応の数の事業者が認定を受けているとされる一方、日本全体の中小企業数に対する認定割合はまだ限られているとの指摘もあり、活用の余地が大きい制度だと考えられます。
メリット1:税制優遇(即時償却または税額控除)
最も注目されることが多いのが、税制優遇です。
代表的なものが「中小企業経営強化税制」で、認定を受けた経営力向上計画に基づいて一定の設備を新規取得した場合、設備の取得価額について、即時償却(取得した年度に全額を費用計上できる扱い)か、取得価額の一定割合の税額控除のいずれかを選択して適用できます。
税額控除の割合は、資本金3,000万円以下の法人は10%、資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%とされています。
即時償却は早期の節税効果が見込め、税額控除は税額そのものを直接減らせるため、自社の状況に応じて選べる点がメリットだと考えられます。
ただし、この税制は経営力向上計画の認定だけで自動的に使えるわけではなく、別途の手続きが必要です。
詳細な要件や限度額は、中小企業庁が公表する「税制措置・金融支援活用の手引き」の最新版で確認してください。
メリット2:金融支援(低利融資・信用保証など)
二つ目は金融面の支援です。
認定を受けた事業者は、政策金融機関による低利融資や、民間金融機関の融資に対する信用保証の特例などを利用できる場合があります。
設備投資や事業拡大には資金が必要になることが多く、有利な条件で資金を調達できる可能性があることは、前向きな投資を後押しする要素になり得ます。
融資や保証の利用にはそれぞれの審査・手続きがあるため、金融機関や認定支援機関と相談しながら進めるのが現実的です。
メリット3:補助金の加点
三つ目が、本記事の流れの中でも特に重要な「補助金の加点」です。
経営力向上計画の認定を受けていることが、各種補助金の審査において加点要素となる場合があります。
補助金は採択をめぐる競争があるため、加点の有無が結果を左右することも少なくありません。
設備投資に補助金の活用を考えている場合、あらかじめ経営力向上計画の認定を受けておくことで、補助金審査を有利に進められる可能性があります。
この「計画 × 補助金」の組み合わせについては、関連記事で詳しく扱います。
メリット4:法的支援
四つ目は、事業承継などの場面で関わる法的支援です。
認定計画に基づく事業承継等を行う場合、許認可の承継に関する特例や、事業譲渡の際の手続きに関する特例などを受けられる場合があります。
設備投資だけでなく、将来の事業承継やM&Aを視野に入れている事業者にとっても、検討する価値のある制度です。
申請の基本的な流れ
設備投資に伴う税制優遇を念頭に置いた場合、申請はおおむね次の流れで進みます。
まず、適用対象者の要件(資本金1億円以下など)を手引きで確認します。
次に、導入する設備の種類に応じて、工業会等による証明書(生産性向上設備の類型)や、経済産業局による確認書(収益力強化設備などの類型)を取得します。
そのうえで経営力向上計画を策定し、事業を所管する省庁の認定を受け、認定後に設備を取得する、という順序が基本です。
注意したいのは、原則として「認定を受けてから設備を取得する」点です。
先に設備を購入してしまうと税制優遇を受けられない場合があるため、投資の計画段階から制度を意識して進めることが重要です。
また、証明書の取得には一定の期間(数日から2か月程度かかる場合もあるとされます)を要することがあるため、余裕を持った準備が望ましいです。
知っておきたい近年の改正点
税制措置の内容は毎年見直される点にも留意が必要です。
2025年4月の税制改正では、生産性向上設備(A類型)の評価指標が見直され、収益力強化設備(B類型)の投資利益率の要件が引き上げられたほか、従来あったデジタル化設備(C類型)が廃止されています。
あわせて、より規模の大きな成長を目指す事業者向けの拡充枠が設けられています。
このように要件は変動するため、「以前はこうだった」という情報のまま進めると、現在の制度と食い違うおそれがあります。
申請を検討する際は、必ず最新の公式情報を確認することが欠かせません。
まとめ:投資の「土台」として活用する
経営力向上計画は、税制優遇・金融支援・補助金加点・法的支援という複数のメリットを通じて、前向きな投資を後押しし得る制度です。
申請が比較的取り組みやすい一方で、税制や要件は改正されやすく、設備取得のタイミングなど実務上の注意点もあります。
当事務所は認定支援機関として、経営力向上計画の策定支援や、補助金申請との組み合わせのご相談を承っています。
「設備投資を考えているが、どの制度をどう使えばよいかわからない」という段階からでも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
計画の作成から補助金の活用まで、一貫してサポートいたします。
