免許証の有効期限を、いますぐ日付で答えられるでしょうか。
宅建業免許の有効期間は5年で、更新の申請ができる期間は「満了日の90日前から30日前まで」と決まっています。
この期間を逃したまま満了日を迎えると免許は失効し、そのまま営業すれば無免許営業になりかねません。
しかも、更新の準備を始めてから「過去の変更届が出ていなかった」と気づき、申請そのものが進まなくなるケースもあります。
この記事では、更新期限の考え方、期限を過ぎたときの違い、更新前に確認したい変更届の点検を、東京都などの公的な案内をもとに整理します。
この記事の要点
- 免許の有効期間は5年。
更新申請は満了日の90日前から30日前までに行う(東京都の手引より)。 - 期限内に申請していれば、審査が満了日に間に合わなくても、新しい免許が出るまで従前の免許は有効。満了日までに更新しないと失効する。
- 更新で最も停止するのは変更届の出し忘れ。
東京都の手引は「変更届出が漏れている場合、更新申請はできません」と記載されているため、更新前の点検が最優先。
更新の申請期間は「満了日の90日前から30日前まで」
宅建業免許の有効期間は5年です(宅地建物取引業法第3条第2項)。
引き続き営業するには、有効期間が切れる前に更新を申請します。
申請できる期間は満了日の90日前から30日前までで(宅建業法施行規則第3条)、東京都住宅政策本部の「宅地建物取引業免許申請の手引」にも明記されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 有効期間 | 5年(免許証に記載) |
| 更新を申請できる期間 | 満了日の90日前から30日前まで(申請できる期間はおよそ60日) |
| 申請先:東京都知事免許の場合 | 東京都住宅政策本部 民間住宅部 不動産業課 免許担当 |
| 申請先:国土交通大臣免許で本店が東京都 | 関東地方整備局へ直接提出 |
「90日前」は受付が始まる日、「30日前」は法定の最終日です。
つまり更新は、満了日の直前にこなす手続きではなく、約60日の期間で終わらせる手続きだと考えてください。
書類に不備があれば補正が入ります。期間の後半に出すと、補正の時間が残りません。
日数の数え方にも注意が必要です。
初日を含めるか、休日をどう扱うかで、受付開始日や最終日が1日ずれることがあります。
自社で計算した日付を信じ切らず、受付開始日と最終日は免許権者(東京都なら免許担当)に確認してください。
なお、満了日が土日祝日であっても、最終日をもって失効する場合もあり、休日だから延びる、と考えて動くのは危険です。
社内の管理としては、免許証の満了日から逆算して「90日前」「30日前」「満了日」の3つをカレンダーに入れ、担当者と代表者の両者が確認するようにしてください。
期限を過ぎたらどうなる? 3つのタイミングで結果が変わる
「30日前を過ぎたら即アウト」とも「満了日までに出せば大丈夫」とも言い切れません。
いつ申請したかで、結果は大きく3つに分かれます。
| 申請のタイミング | 起きること | 経営者がとるべき行動 |
|---|---|---|
| 満了の90日前〜30日前 | 正規の更新。 審査が満了日に間に合わなくても、新しい免許が交付されるまで従前の免許は有効(宅建業法第3条第4項) | 補正に備え、期間の前半に申請する |
| 30日前を過ぎ、満了日の前 | 扱いは免許権者によって異なる。 受け付けてくれる場合もある。 | 気づいた日に免許担当へ電話し、受付の可否と必要書類を確認する |
| 満了日を過ぎた | 満了日の翌日に免許が失効する。 新規免許を取り直すことになる | 営業を止め、新規申請の準備に切り替える |
期限内に申請すれば、審査中も営業できる
東京都は、更新申請から新しい免許の交付までの間に従前の免許の有効期間が過ぎても、従前の免許は直ちに失効せず、新しい免許の交付を受けるまで有効だとされています。
ただし、通知は原則として現免許証の期限直前に出され、補正の状況によっては期限後になる場合があります。
「申請したから安心」ではなく、補正の連絡に即応できる体制を整えておくことが大切です。
30日前を過ぎた場合は、窓口ごとに運用が違う
東京都の手引には、30日前を過ぎて申請した場合の扱いが書かれていません。
参考までに千葉県の案内では、満了まで30日未満の更新は電子申請ではなく紙申請のみとし、遅れた理由と改善の意思を書いた始末書を添えて窓口へ持参するよう求めています。
つまり、受け付けてもらえるかどうか、追加書類が要るかどうかは、都道府県ごとに違います。
「たぶん受け付けてもらえる」と考えるのは避けてください。
満了日を過ぎると、営業そのものができなくなる
愛知県の案内によれば、更新の手続を怠った場合は満了日の翌日に免許が失効し、そのまま営業を続けると宅建業法第12条(無免許事業等の禁止)違反として罰則の対象になります。
法定刑は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です(宅建業法第79条)。
しかも、取り直しには時間がかかります。
東京都の手引は、新規免許の審査について、書類受付後、補正期間を含めて約30日〜60日要します。
書類を揃える期間も加えれば、それ以上になります。
更新に失敗したときの損失は、手数料よりも、営業ができない期間にあります。
更新で止まる最大の原因は「変更届の出し忘れ」
更新の準備で最初にやることは、書類集めではありません。
これまでの変更届が、すべて出ているかの点検です。
東京都の手引には、変更が生じた日から30日以内に変更届出書を提出する必要があること、そして「届出が漏れている場合、更新申請はできません」と書かれています。
神奈川県も、更新申請は商号、事務所の所在地、法人の役員、政令使用人、専任の宅建士などのすべての事項が届け出済みの状態でないとできず、漏れがあれば更新時にさかのぼって全部提出するよう記載されています。
つまり、変更届の漏れは、更新の直前に発覚すると、次の順番で時間を奪います。
- 漏れていた変更届を、過去の分まで先に作成・提出する
- その後でようやく、更新申請の書類をそろえる
- その間にも、30日前の最終日が近づく
点検の対象になる主な事項
| 事項 | 変更届が要る場面の例 |
|---|---|
| 商号または名称 | 社名を変えた |
| 事務所の所在地・名称 | 本店や支店を移転した |
| 法人の役員 | 取締役や監査役などが就任・退任した |
| 政令使用人 | 契約締結の権限を持つ支店長などが替わった |
| 専任の宅地建物取引士 | 退職・交代した、勤務先が変わった |
点検のやり方:3つの資料を突き合わせる
- 手元にある、直近の免許申請書・変更届の副本を出す
- 現在の商業登記の内容(役員)と、社内の在籍状況(専任宅建士・支店長)を確認する
- 副本の内容と食い違うところを一覧にして、更新前に変更届を出す
副本の保管は特に重要です。
東京都は、2025年4月1日の申請等受付分以降、閲覧できる書類が限定されたこと、法人の場合は代表者からの開示請求でも開示が限定的になっています。
そのうえで、受付時の副本は申請者自身が継続して保管するよう求めています。
副本がないと、過去に何を届け出たのかを自社で再現できなくなります。
書類準備は「発行から3か月以内」から逆算する
更新申請の書類は、東京都の手引で細かく定められています。
ここでは、スケジュールに直接影響する点に絞って整理します。
- 証明書類の有効期限:
官公庁が発行する証明書類は、申請の受付日現在で発行から3か月以内の原本に限られます(東京都の手引)。
早く取りすぎると、申請時に使えなくなります。 - 役員等の証明書:
専任の宅建士については、身分証明書と「登記されていないことの証明書」の提出は不要になりました。
一方、代表取締役、取締役、監査役、政令使用人などの全員分は、引き続き必要です(東京都)。 - 様式の変更:
役員と政令使用人(専任の宅建士を除く)の略歴書から住所・電話番号・生年月日の記載がなくなり、代わりに「代表者等の連絡先に関する調書」の提出が必要になりました(東京都)。
古い様式で作ると作り直しになります。 - 手数料:
東京都の手引は更新の手数料を3万3千円とし、現金での持参となっています。
電子申請(eMLIT)は手数料の電子納付は当面できず、窓口持参か現金書留での郵送になります。 - ほかに提出する書類:
略歴書、専任の宅地建物取引士設置証明書、宅地建物取引業経歴書、決算書の写し(法人の場合)など
満了日から逆算した準備の目安
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 満了の約120日前 | 免許証で満了日を確認。変更届の点検。必要書類の洗い出しと担当者の決定 |
| 満了の90日前〜 | 受付開始。申請日から逆算して、証明書類(発行3か月以内)を取得 |
| 満了の約60日前まで | 補正に備え、申請を完了させる(自社で決める目標日) |
| 満了の30日前 | 法定の最終日 |
「約120日前」「約60日前」は、法定の期限ではなく、補正の時間を確保するために当事務所が考える逆算の目安です。
審査中の補正に即応できるよう、書類の原本と担当者の連絡先をまとめておきましょう。
新しい免許証が手元に届くまでの注意
神奈川県は2026年10月時点で、更新申請の増加により、新しい免許証の送付が受付から3〜4か月後になっていると公表しています。
これは神奈川県の例ですが、更新後の免許証が満了日までに届かないことは起こり得ます。(東京都もその傾向があります)
その間も従前の免許は有効で、重要事項説明書などには更新前の免許番号を記載するよう、案内されています。
実務でよくあるつまずき4パターンと、自社で使えるチェックリスト
更新は新規の取得と違い、「5年間の変化」がそのまま審査の前提になります。
免許の資格は時間の経過で変動するものなので、更新のたびに要件に合っているかを判断されます。
つまり、更新時にも事務所や専任の宅建士などの要件が見られます。
当事務所が相談を受ける中で多いのは、次のようなケースです(個別の事例ではなく、一般的なパターンです)。
- 役員交代の「登記」だけ済ませて、免許権者への変更届を出していない。
登記と変更届は別の手続きです。登記を直した時点で、届出も済んだと思い込みがちです。 - 専任の宅建士の退職・交代を届け出ていない。
あるいは、取引士証の有効期限が切れていた。専任要件に直結するため、更新の審査で問題になります。 - 事務所の使われ方が、5年のあいだに変わっている。
移転、他社との共用、間仕切りの変更などです。
事務所は継続的に業務を行える施設で、独立性が保たれている必要があるとされています。 - 決算書や納税関係の書類が、申請日に間に合わない。
決算の確定や税理士とのやり取りに時間がかかり、30日前の最終日に近づいてしまいます。
上記の変更届にはそれぞれ期限が定められています。
更新直前に気付いた場合は、早急に変更届を提出する必要がありますが、変更届けの期限を越えている場合は「始末書」「理由書」なども要求されます。
関連する手続きは、次の記事でも詳しく解説しています。
専任の宅建士の変更届は専任宅建士が退職・辞任したら免許はどうなる?
取引士証の期限は宅建士証の更新を忘れた場合をご覧ください。
更新前チェックリスト
- 免許証で、免許権者(東京都・国土交通大臣・他県)と満了日を確認した
- 受付開始日(90日前)と最終日(30日前)を免許権者に確認し、カレンダーに入れた
- 手元の副本と現状(役員・政令使用人・専任の宅建士・商号・事務所所在地)が一致している
- 役員の変更があれば、登記が済んでいる
- 専任の宅建士の取引士証の有効期限と、常勤の状況を確認した
- 事務所が独立した空間として使われている(共用や移転がない)
- 決算書や納税関係の書類を、申請日から逆算して手配した(税理士と連携)
- 証明書類が申請日の3か月以内の発行になるよう、取得日を決めた
- 手数料(東京都は現金)の準備と、免許証の受取方法を決めた
状況別の次の一手
| いまの状況 | 最初にやること |
|---|---|
| 満了まで90日以上ある | 変更届の点検から始める。漏れがあれば先に提出する |
| 満了まで90日〜30日(申請期間中) | 書類の取得日を決め、補正の時間が残るうちに申請する |
| 満了まで30日を切っている | 免許担当に電話し、受付の可否と必要書類を確認する。同時に書類を最短で整える |
| 満了日を過ぎた | 宅建業としての営業を止め、新規免許の申請準備に切り替える |
よくある質問
宅建業免許の更新は、いつまでに申請すればよいですか?
免許の有効期間が満了する日の90日前から30日前までに申請します。
受付はこの期間内に行われる必要があり、東京都の手引にも同じ期間が記載されています。
日数の数え方で1日ずれることがあるため、受付開始日と最終日は免許権者に確認してください。
更新の審査中に、免許の有効期間が切れたらどうなりますか?
期限内に更新を申請していれば、新しい免許が交付されるまで従前の免許は有効です(宅建業法第3条第4項)。
ただし、補正の連絡が来たら速やかに対応する必要があります。
宅建業免許の更新を忘れたら、どうなりますか?
満了日の翌日に免許が失効し、そのまま営業を続けると無免許営業として罰則の対象になります。
失効後に営業を再開するには、新規免許を取り直す必要があります。
変更届を出していないと、更新できませんか?
東京都の手引は、変更届の漏れがある場合は更新申請ができないと案内しています。
変更があった日から30日以内に届け出る必要があるため、更新の準備では、まず過去の届出に漏れがないかを点検してください。
更新の申請は、電子申請でできますか?
東京都知事免許でも、2025年1月6日から電子申請(eMLIT)で更新を申請できます。
ただし、電子申請でも手数料の電子納付は当面できず、窓口に現金を持参するか、現金書留で郵送して納付します。
まとめ:今日やるべき3つのこと
宅建業免許の更新は、満了日の90日前から30日前までの約60日間で終わらせる手続きです。
期限を過ぎると、営業ができなくなるおそれがあります。
まず、次の3つに今日から着手してください。
- 免許証で免許権者と満了日を確認し、「90日前」「30日前」「満了日」をカレンダーに入れる
- 手元の副本と現状を突き合わせ、変更届の出し忘れがないか点検する
- 証明書類の取得日を、申請日から逆算して決める
なお、制度の運用や必要書類は免許権者ごとに異なり、改正されることもあります。
最終的な判断は、必ず東京都などの免許権者の最新の案内(手引・公式サイト)で確認してください。
更新手続きを当事務所に相談するメリット
行政書士飯島事務所では、宅建業免許の更新について、次の準備と手続きをお手伝いしています。
- 免許証の満了日からの逆算スケジュールの作成
- 変更届の棚卸し(副本と現状の突き合わせ、出し忘れの洗い出し)
- 更新申請書類の作成と提出
- 役員変更の登記は司法書士、税務に関する書類は税理士など、提携の専門家との連携
「満了日まであと何日か分からない」「過去の変更届に自信がない」という段階でも、まずはご相談ください。
早い段階で点検できるほど、対応策が拡がります。
