物価高で利益が圧迫されている都内中小企業へ

「値上げだけでは限界」「利益が年々減っている」「新しい市場に挑戦したいが資金が足りない」
——長期化する物価高騰やコスト増の中で、こうした悩みを抱える都内の中小企業は少なくありません。

そんな企業を後押しするため、東京都が令和8年度(2026年度)に新たに創設したのが「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」です。
一般に「創意工夫チャレンジ補助金」とも呼ばれます。

資金の補助に加えて専門家による無料の伴走支援も受けられ、しかも後述するとおり国の主要な補助金よりも好条件という、見逃せない制度です。

本記事では、制度の概要から対象者、補助額、申請の流れ、注意点までを整理します。

制度の概要:補助と伴走支援がセット

この事業は、東京都と(公財)東京都中小企業振興公社が実施します。
既存事業の深化・発展や、新市場・新分野への進出など、中小企業が創意工夫を生かして行う取組に対し、必要な経費の一部を補助する制度です。

単なる補助金支給にとどまらならず、専門家派遣も無料で受けられます。
専門家(アドバイザー)が価格転嫁・新規顧客の獲得・コスト管理といった経営課題に応じた収益向上計画の策定を無料でフォローし、計画に基づく取組を補助します。

設備を導入して終わりではなく、運用改善や販路開拓まで伴走してもらえるため、成果につながりやすい制度です。

なお、当事務所ではこの制度に特化した専用ページもご用意しています。あわせてご覧ください。

創意工夫チャレンジ促進事業 申請サポートページはこちら

創意工夫チャレンジ促進補助金解説ページ

国の補助金より「好条件」な5つの理由

この制度が注目される最大の理由は、ものづくり補助金や新事業進出補助金といった国の主要な補助金と比べても、条件が手厚い点にあります。
前向きな投資を考える都内中小企業にとって、まず検討すべき制度といえます。

理由1:補助率が高い
国のものづくり補助金や新事業進出補助金は、補助率が原則1/2から2/3です。
これに対し本制度は、基本が2/3、賃上げ計画の達成で最大4/5まで引き上げられます。
最近の補助金ではトップクラスの補助率です!
同じ投資額でも、自己負担を大きく抑えられる可能性があります。

理由2:競争相手が限られている
国の人気補助金は全国の事業者が対象で、近年の採択率はものづくり補助金で30%台まで低下するなど、難関化が進んでいます。
本制度は東京都内の中小企業に対象が限られており、競争相手が少ないです。
ただ、予算も国に比べ小さいため、単純に採択されやすい訳ではありませんので、ご注意ください。

理由3:少額の投資から使いやすい
国の大型補助金は補助額の下限が高い場合があり(新事業進出補助金では750万円が下限)、一定規模以上の投資が前提になりがちです。
本制度は対象経費が幅広く、比較的小規模な取組からでも活用を検討できます。

理由4:不動産賃貸料が対象
多くの補助金では「不動産賃貸料」は補助金の対象外になっていますが、この補助金では「補助事業に必要かつ新たに借りる場合」は対象になります。
これは他の補助金にはない、特徴的な点です。

理由5:審査がスピーディ
東京都の補助金は国の補助金に比べ、審査スピードが速いと思います。
このため、申請から補助金着金までの期間が数ヶ月早まる場合がありますので、資金繰り的にも優位な補助金であると言えます。

もちろん、どちらが適しているかは投資内容や規模によります。
ただ、都内の中小企業が経営改善を伴う前向きな投資を行うなら、まずこの制度の活用可能性を検討する価値は大きい、検討すべきと考えています。

対象となる事業者

対象は、都内の中小事業者です。
具体的には、会社(株式会社・合同会社・合名会社・合資会社・有限会社)および個人事業主のうち、業種ごとに定められた資本金または従業員数の条件を満たす事業者が該当します。

加えてこの制度では、経営に課題を抱える事業者を支援する趣旨から、
営業利益が減少している、あるいは赤字決算である
といった事業者に絞っています。

利益減少や赤字に悩む企業ほど、この制度を活用して立て直しと前向きな投資を進める価値があります。
自社が対象になるかどうかは、最新の公募要領で正確に確認してください。

コースと補助率・補助額

この事業は、目的に応じて複数のコース(既存事業を深化・発展させるコース、新市場・新分野へ進出するコース、賃上げに重点を置くコースなど)に分かれており、コースごとに対象者や補助額が異なります。

補助率は2/3以内が基本ですが、一定の賃金引上げ計画を策定・実行することで、最大4/5以内まで引き上げられます。
賃上げ計画を達成できなかった場合は、補助率は2/3以内にとどまります。

補助の上限額はコースによって異なり、規模の大きいコースでは最大1,000万円程度とされる一方、コースによってはこれより小さい600万円が設定されています。
具体的な金額はコースごとに違うため、申請を検討する際は公募要領で必ず確認してください。

補助率引き上げのための「賃上げ要件」

補助率を4/5に引き上げるための賃金引上げ計画は、補助事業完了日の翌月から1年間(賃金引上げ計画期間)について、次の要件をすべて満たすものとされています。

  • 従業員が1名以上いること
  • 従業員の給与等総額を2%以上増加させること
    (役員を除く従業員の給与が対象で、常勤・非常勤を問いません)
  • 実施場所内の最低賃金を、地域別最低賃金に30円以上の水準にすること

賃上げを前提とした投資を考えている企業にとっては、補助率の上乗せを受けられる有力な選択肢になります。
賃上げが未達の場合は、補助金返還する場合があります。

対象となる経費

対象経費は幅広く設定されています。
設備投資やシステム開発、販売促進にかかる費用のほか、専門家への謝金・コンサルティング費用、生産設備(工作機械等)などが想定されています。

ただし、この制度は「創意工夫」を生かした取組を支援するものであり、単なる設備の更新や入れ替えだけでは採択されない(ほとんど無理)と思ってください。

「自社のどんな工夫で、どのように収益向上につなげるのか」を計画で明確に示すことが、採択への鍵になります。

申請の流れと専門家派遣

申請後は、策定した事業計画に基づく取組を進めます。
希望があれば、専門家派遣は無料で、複数回(最大10回程度)受けられます。

補助事業完了後は、補助金確定通知書の受領後に補助金請求書を提出し(実績報告)、審査を経て指定口座へ振り込まれます。
申請から入金まで一定の期間がかかるため、資金繰りを補助金頼みにしすぎない計画が大切です。

なお、交付決定年度の翌年度から3年間は、補助事業の実施結果を報告する必要があります。

申請前に知っておきたい注意点

活用を検討するうえで、いくつか押さえておきたい点があります。

まず、この事業と「中小企業収益力強化サポート事業」は、同時に支援を受けることができません。
また、この創意工夫チャレンジ促進事業の交付決定を過去に1度でも受けたことがある、または申請中である場合は、対象外になります。

申請スケジュールは年度ごとに設定され、申請枠や締切が設けられます。
令和8年度は年度内に申請を受け付ける計画ですが、予算には限りがあるため、活用を考えている場合は早めの準備が望ましいです。
最新の申請期間・要件は、東京都中小企業振興公社の公式情報で必ず確認してください。

まとめ:高い補助率と伴走支援を立て直しの一手に

「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」は、最大4/5という高い補助率と専門家による無料の伴走支援を組み合わせた、国の主要な補助金よりも好条件な制度です。
利益減少や赤字に悩む都内中小企業にとって、前向きな投資と経営の立て直しを同時に進められる心強い選択肢といえます。

一方で、複数のコースや賃上げ要件、「創意工夫」を示す計画づくりなど、満たすべき要件や準備すべき点も多くあります。

当事務所は補助金申請を支援する行政書士として、自社が対象になるかの確認から、収益向上計画の整理、申請書類の準備までサポートします。

制度の詳細や申請の進め方は、専用ページでもご案内しています。

創意工夫チャレンジ促進事業 申請サポートページはこちら

創意工夫チャレンジ促進補助金解説ページ

「利益が減ってきたが、何に投資すべきか」「この制度を使えるか」といった段階からのご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせください。
経営改善と前向きな投資を、制度の活用で一緒に進めていきましょう。