「開業して1年たっていないのですが、持続化補助金は創業型と一般型のどちらで出すべきですか」。
申請の締切を前に、こうしたご相談が増えています。

上限額だけを見ると創業型(200万円)が有利に見えます。
しかし創業型は対象になれる事業者が限られ、しかも一般型と同時に申請することはできません。
この記事では、創業型第4回と一般型・通常枠第20回の公募要領をもとに、2つの違いと選び方の基準を整理します。

最初に知るべき前提:創業型と一般型は「どちらか1つ」

持続化補助金の創業型と一般型は、両方の公募要領で、同時に申請できないと定められています。

  • 創業型の公募要領:
    一般型との重複申請はできません。
    あわせて、一般型・通常枠に「申請中」または「採択を受けている」事業者、採択されて事業を実施した事業者は、創業型の対象外です。
  • 一般型の公募要領:
    創業型に「申請中」または「採択を受けている」事業者は対象外で、創業型と同時に申請できません。

つまり「創業型で出して、ダメなら一般型」という保険はかけられません。

7項目で比べる:創業型 第4回 vs 一般型 通常枠

創業型は第4回、一般型は第20回で比較します。
募集回が異なると、基準、要件が変わることが多いので必ず募集要項をご確認ください。

項目創業型(第4回)一般型・通常枠(第20回)
補助上限200万円50万円
上乗せインボイス特例+50万円(最大250万円)インボイス特例+50万円/賃金引上げ特例+150万円/両方で+200万円(最大250万円)
補助率2/32/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4)
対象者開業日と特定創業支援等事業の支援を受けた日が2025/12/15〜2026/12/15。
認定市区町村の発行する証明書が必要
創業年数の制限なし。申請時点で事業を開始していること
事業開始前の申請開業届の提出・法人設立が済んでいれば可(補助事業終了までに事業開始が必須)不可(開業届を出していても、事業開始前は対象外)
賃上げの縛り賃金引上げ特例の設定なし特例を使う場合、従業員1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増加
対象経費・締切8区分(広報費・ウェブサイト関連費は各30万円上限)。
受付11/5〜12/15 17:00、様式4発行依頼は12/4まで
同じ8区分・同じ上限・同じ日程
直近の採択率(※)第2回38.1%、第3回41.2%第18回48.1%、第19回47.2%

※採択率は、公表された申請件数と採択件数から算出しました(創業型:第2回3,220件中1,226件、第3回1,919件中791件/一般型:第18回17,318件中8,330件、第19回16,576件中7,819件)。

補助対象経費の区分や上限は両枠でそろっています。
差が出るのは、「誰が申請できるか」「上限額」「賃上げの縛り」「事業開始前の扱い」の4点です。

創業型を選べる人・選べない人:見落としやすい4つの条件

創業型を使えるかは、次の4点で決まります。

① 「2025年12月15日以降」の線引き
開業日(法人は設立年月日)と、特定創業支援等事業の支援を受けた日の両方が、締切から遡って1年の間(2025年12月15日〜2026年12月15日)に入る必要があります。
開業日が2025年12月14日以前なら、創業塾を最近受講していても対象外です。
逆に、開業が最近でも、創業塾の受講日が12月14日以前なら対象外になります。

② 支援を受けたのは「代表者本人」であること
法人は代表者、個人事業主は本人が支援を受けている必要があります。
役員・従業員・家族が受講しても要件を満たしません。

③ 法人成りの落とし穴
個人事業として開業してから1年を超えている場合は、法人化して設立日が新しくても申請できません。

④ 過去の申請・採択
創業型で採択されて事業を実施した事業者は対象外です(代表者を変えても対象外)。
一般型・通常枠に申請中・採択済みの場合も対象外です。

なお、「特定創業支援等事業」とは、産業競争力強化法に基づき、認定市区町村(または連携する事業者)が行う創業支援のことです。
経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野を学ぶ、創業塾や創業セミナーが代表例です。
受講後に認定市区町村が証明書を発行します。

📌 特定創業支援等事業は必須!!

創業型では特定創業支援等事業の認定証明書が必須となります。
市区町村で行っている創業支援の創業スクール、セミナーを受講(1ヶ月以上、4回以上)した後、証明書を発行(1週間程度かかります)してもらうことになります。

創業支援の日程を市区町村で調べ、補助金締切に間に合うかを早めにご確認ください。
創業型の申請要件で一番重要な点です!!

迷いやすい4ケース別・どちらを選ぶか

相談が多い状況を、よくあるケースとして整理します。

ケースA:開業して数か月、創業塾も受講済み、従業員は少数
→ 創業型が有力です。
補助上限が一般型の4倍で、賃上げの約束も不要です。

ケースB:今年開業したが、創業塾は未受講
→ 12月4日までに受講を終え、証明書を受け取れる日程があるかを、まず市区町村に確認します。
間に合う見込みが薄く、すでに事業を開始している場合は、一般型に切り替える判断が現実的です。

ケースC:開業届は出したが、店舗はオープン準備中(売上なし)
→ 創業型のみが可能です。
一般型は、開業届を出していても事業開始前は対象外です。
ただし創業型でも、補助事業の終了までに商品・サービスの提供を始める必要があります。

ケースD:開業から1年以上、または従業員を雇って賃上げも見込める
→ 一般型です。
賃金引上げ特例を使えば最大250万円まで届きますが、賃上げ目標(年平均3.0%増)を達成できなければ上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されません。
未達の場合は、その後18か月、中小企業庁所管の補助金の審査で大幅に減点されます(実質、補助金は申請してもほぼ採択されません)。
従業員数と給与の見通しを試算してから決めてください。

インボイス特例(+50万円)を使うか迷う場合
2023年10月1日以降に創業した事業者は、補助事業の終了時点で「適格請求書発行事業者」の登録を受けていれば、上乗せ対象になります。
ただし登録すると課税事業者になり、消費税の負担が生じます。補助金のために登録を決めるのは本末転倒になり得ます。
登録するかどうかは税理士にご相談ください。

数字で冷静に見る:上限額・自己負担・採択率

上限額の「満額」に必要な投資規模 補助率2/3なので、以下の補助対象経費以上の場合は上限額となります。

  • 一般型(上限50万円):約75万円
  • 創業型(上限200万円):約300万円
  • 創業型+インボイス特例(上限250万円):約375万円

自己負担は経費の1/3以上で、補助金は後払いです。
300万円規模の投資なら、いったん全額を立て替える資金繰りが要りますので、資金繰りには十分ご注意ください。
金融機関との相談を並行して進めてください。

「上限が高い=通りやすい」ではない
創業型の採択率は第2回38.1%、第3回41.2%で、一般型(47〜48%)より低い水準です。
審査では、売上高・売上総利益の増加を客観的なデータで示す点は両枠に共通です。

創業型では、創業支援の場で作った創業計画書を踏まえた補助事業計画かどうかも見られます。
なお、創業計画書を作っていないことが、不採択や減点の理由にはならないと公募要領に書かれています。

創業型を使うと、一般型はしばらく使えない
創業型で採択され事業を実施した事業者は、事業実施期間の終了日が属する月の翌月から1年が経過し、事業効果等の報告書を提出するまで、一般型に申請できません。
「今は創業型で、数年後に一般型」と考える場合は、この間隔を計画に入れてください。

📌 なぜ創業型の採択率が一般型よりも低い?

あくまでも推測です。

創業型の場合、開業前、開業間もない事業者が多く、提出された事業計画に記載されている内容、数字は、現実の経営状況から導き出したものではないため、希望的内容、数字になっていることが多く、そのため、実現可能性が低いと判断されやすい傾向があります。
そのため、採択率も10%程度低くなっていると推測しています。

事業計画書は夢を語るのではなく、実現可能性が高い計画にすべきで、じっくりと内容を検討してください。

実務で多い失敗と、準備期間の目安

  1. 「創業型にしたい」が先行し、受講日の要件を後から知る
    受講日、期間を最初に確認してください。
  2. 事業支援計画書(様式4)を、代理人だけで依頼しようとする
    商工会・商工会議所への相談と様式4の発行依頼は、社外の代理人のみでは行えません。
    事業者ご自身が窓口に出向く前提で、スケジュールを組みます。
  3. 専門家の費用を経費に入れる
    謝金、コンサルティング費用、申請書類の作成費用は補助対象外です(インボイス制度対応のための専門家への相談費用は例外)。
  4. 第三者の支援を受けたのに、様式2に記載しない
    支援料金の支払いの有無にかかわらず、相手方と金額の記載がない場合は、虚偽の報告として不採択・交付決定取消になります。
  5. 交付決定前に発注・支払をする
    採択通知書だけでは事業を始められず、交付決定日より前の発注・契約・支払は対象外です。

準備期間の目安(当事務所の経験則であり、公式の基準ではありません)
GビズIDプライムの取得、計画書(経営計画・補助事業計画)の作成、商工会・商工会議所との面談調整に3〜5週間程度を見ておくと安全です。
創業型は、これに証明書の取得期間が加わります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 持続化補助金の創業型と一般型は、同時に申請できますか?

できません。
創業型・一般型の両公募要領に、重複申請はできないと明記されています。
第20回(一般型)と第4回(創業型)は、締切も同じ2026年12月15日なので、どちらか1つを選びます。

Q2. 創業型の対象になる開業日はいつからですか?

第4回では2025年12月15日から2026年12月15日となっています、他の回は募集要項でご確認ください。
開業日(法人は設立年月日)と特定創業支援等事業の支援を受けた日の、両方がこの期間に入る必要があります。

Q3. 創業型の補助上限はいくらですか?

200万円です。
2023年10月1日以降に創業し、補助事業終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受けた場合は、インボイス特例で50万円が上乗せされ、最大250万円になります。
創業型には賃金引上げ特例の設定はありません。

Q4. 創業型で不採択だった場合、同じ時期に一般型へ申請できますか?

同時申請が認められませんが、創業型で不採択になった場合、その後の一般型に申請することは可能です。

Q5. 開業して1年以上たっていますが、創業型は使えますか?

使えません。
開業日が申請締切から1年以上前の場合は、創業型の申請はできません。その場合は、創業年数の制限がない一般型・通常枠を検討してください。

まとめ

創業型と一般型は、金額の大小ではなく、開業日、創業塾の受講日、事業開始の有無、賃上げの余力で決まります。
そして同時には申請できず、次回の公募時期も分かりません。

今やること

  1. 開業日と、創業塾などの受講日を確認する。
  2. 創業型を狙う場合は、証明書の取得日程を市区町村に確認し、計画書は早めに準備する。
  3. 様式4の発行依頼期限から逆算して、商工会・商工会議所の面談日を押さえる。